通信制高校はどんな感じの学校?全日制との違いや服装・費用を解説!
「通信制高校って気になるけど、実際どんな感じなんだろう?」
通信制高校への入学を検討している方の中には、通信制高校の雰囲気や実態が気になる方も多いのではないでしょうか。
令和2年に文部科学省が実施した通信制高校の生徒数は、公立が55,427名、私立が151,521名でした。
通信制高校は全日制高校と様々な点で違いがあるため、入学する際には違いや特徴を把握しておくことが大切です。
今回は通信制高校と全日制高校の違いや、通信制高校に通うメリットなどを解説します。
通信制高校とは?
一般的に、高校には「通信制高校」と「全日制高校」が存在します。
それぞれには違いや特徴が存在し、通学する際には特徴を把握したうえで自身に合っているか確認する必要があります。
以降では、通信制高校と全日制高校の違いを解説します。
通信制と全日制の違い
通信制高校(高等学校通信課程)の定義については、文部科学省から以下のような解説がされています。
高等学校通信制課程は、勤労青年に高等学校教育の機会を提供するものとして戦後に制度化され、教室授業を中心とする全日制課程・定時制課程とは異なり、通信手段を主体とし、生徒が自宅等で個別に自学自習することとして、添削指導・面接指導・試験の方法により教育を実施している。また、これらに加えて多様なメディアを利用した指導を行うことができる。
通信制高校とは、通信教育を使用し自宅から勉強ができる高校です。
全日制高校のように毎日通う必要がないほか、単位制を導入していることから過大の提出やテストによって単位を取得できる特徴があります。
卒業要項に必要な単位数に達することで卒業ができるため、全日制高校よりも自由度の高い勉強ができます。
一方、全日制高校は学年制となっており、各学年に必要な進級要件を満たしていることで進級できます。
修業年限は全日制が3年となっている一方、通信制は3年以上になっているため個々のペースで勉強できるため働きながらでも学業を修めることが可能です。
通信制高校の特徴
通信制高校は全日制高校と違う特徴が多数存在しており、入学する際にはいくつかの特徴を把握することが重要です。
例として、通信制高校の多くは制服がなく私服で通学できる点や必要な単位数を取得することで卒業できる点、入学や授業に必要になる費用などが挙げられます。
以降では、通信制高校の特徴を解説します。
服装の特徴
通信制高校の多くは制服がなく、私服通学が一般的です。
制服着用を義務付けている高校も少ないため、制服にかける費用を削減できる特徴があります。
なお、近年では学校指定の制服を用意している高校も増えており、CECILやMcBEE、ユニクロなどの人気ブランドが制服をプロデュースする例もあります。
学校の中には、ネクタイとリボンの変更や有無などアレンジも自由にできるケースも存在するため、制服に苦手意識がある方でも着用しやすい仕組みとなっています。
なお、制服があっても私服で通学したい場合は私服通学が可能な学校は多く存在するため、自由に服装を楽しみやすくなっています。
入試・入学時期の特徴
通信制高校では学科試験を実施せず、書類選考や面接などで入試を終える学校が多くなっています。
入学は全日制高校と異なり、春(4月)と秋(10月)の2回おこなう学校が多く、入学時期を自由に選べる特徴があります。
また、一般的な入学以外にも転入学や編入学は時期を気にせず月の途中からでも可能なため、比較的転校や編入がしやすくなっています。
通学・授業の特徴
通学や授業は学校ごとに違いがありますが、一般的には週1~3日の通学(スクーリング)が必須となっています。
学校によっては年数回のスクーリングのみで単位修得が可能な学校もありますが、多くの学校は週に数度通学しなければいけません。
また、全日制と異なり学年制ではないため学年やクラスが存在しないケースもあります。
午前・午後の授業には様々な年齢の生徒が参加する傾向にあります。
通信制高校の生徒の年齢層は下記の通りです。
- 15歳…39,360人
- 16歳…52,647人
- 17歳…62,737人
- 18歳…18,876人
- 19歳…7,674人
- 20~24歳…14,569人
- 25歳以上…11,085人
なお、午前・午後に授業がある学校も存在しますが、半日程度で授業が終わる学校も多数存在するため拘束時間も短くなっています。
主な学習は自宅学習とレポート課題の提出が中心になるため、働いている方でも高校卒業単位が取得しやすくなっています。
テストの特徴
テストは年に1~2回ほど単位認定試験が実施されており、試験に合格することで各学科の単位が認定されます。
全日制は3学期制の場合年5回、2学期制なら年4回ほどの頻度で試験がおこなわれるほか合格などの卒業に明確に関わる試験ではありません。
単位認定などの面から、通信制は卒業のためにはテストが重要と言えます。
また、全日制高校の定期考査よりも試験範囲が広くなっている傾向にありますが、難易度は定期考査ほど高くないため比較的合格を取りやすくなっています。
卒業要件の特徴
通信制は3年以上の在籍と、卒業要件に定められた単位を修得できれば卒業可能です。
単位修得のためには、日々のレポート提出(年間約50~60通)とスクーリング(通学)、単位認定試験の全てをクリアする必要があります。
通信制高校は全日制高校と異なり、単位制を採用しているため単位を落としても留年などの措置はありません。
単位を落とした際には再度履修し、単位を修得することで卒業が可能となります。
費用の特徴
費用は地域や学校によって差がありますが、礼として都立の通信制高校の場合、1単位336円の通信教育受講料がかかります。
卒業までには74単位以上が必要になるため、1単位336円で換算した場合卒業までに必要な授業料は24,864円となります。
公立の学費は年間3万円程度から利用できるほか、私立の学費は年間10万円ほどとなっているため、費用を抑えたい方は公立の通信制高校を利用することをおすすめします。
なお、毎日登校コースなどサポートが手厚い高校の場合、50万円ほどかかってしまうケースもあるため気になる高校がある方は授業料を調べてから入学を検討することをおすすめします。
通信制高校に通うのがおすすめの人の特徴
通信制高校は全日制高校と大きな違いがあるため、通学する際には自分に向いているか特徴を把握することが大切です。
全日制高校よりも授業の自由度が高いため、不登校で学校に通えていない人や学校で人間関係に悩んでいる人などに通いやすい学校となっています。
また、卒業のための単位が足りていない人や学業以外に芸能活動やスポーツ活動が忙しく満足に学校に通えない方にもおすすめです。
既に学校を卒業し働いていながら、高校卒業資格が欲しい人も利用しやすくなっているのが通信制高校です。
以降では、通信制高校に通うのがおすすめの人の特徴を解説します。
不登校や学校などの人間関係で悩んでいる人
通信制高校は在籍する生徒同士の関わりが浅く、授業によって受講する生徒も異なります。
全日制高校でクラスメイトと上手くなじめなかった方や不登校になってしまった方など、人間関係により通えなくなってしまった方に非常におすすめです。
文部科学省がおこなった調査では、在籍生徒の約半数が不登校経験がある生徒である結果を提示しています。
学習は自宅学習がメインになっているため周囲の目を気にせず個々のペースで勉強ができ、通学は週1~3回ほどと全日制高校よりも少なく、学校ではそれぞれが個々に勉強しているため無理に人間関係を構築する必要もありません。
人と関わることが苦手な方や人間関係で悩みがある方は、通いやすいと言えるでしょう。
前の学校で卒業するのが厳しい人
病気や人間関係など様々な理由により、出席日数が足りなかった方や単位を落としてしまった方など卒業が難しくなった方にも通信制高校はおすすめです。
通信制高校は学年制ではなく単位制を採用しているため留年がなく、単位を落としても再度履修し単位を取得することで卒業できます。
卒業要件と3年間の在籍、74単位の修得により卒業ができるため全日制高校よりも比較的楽に卒業ができる傾向にあります。
なお、1年に習得できる単位数は決まっているため、1年次からコツコツ単位を修得しましょう。
芸能活動やスポーツ活動に専念したい人
アイドルや歌手、俳優などの芸能活動と並行し学業を修めたい方にも通信制高校はおすすめできます。
通信制高校は全日制高校と異なり、半日や午前・午後ほどの授業時間を定められているため芸能活動と並行しやすくなっています。
勉強も自主学習がメインとなり、定められた課題やレポートを提出することで卒業可能です。
レポートの難易度は学校によって異なりますが、比較的難易度は高くないためスキマ時間でも作成しやすくなっています。
将来の夢が決まっている方や、学業と並行しつつ時間を確保したい方は通信制高校の自由度の高いシステムはおすすめです。
働きながら高校卒業資格が欲しい人
通信制高校は年齢制限がなく、在籍生徒の中には20歳以上の生徒が約10%以上存在します。
下記は令和2年に文部科学省が実施した通信制過程の年齢別生徒数です。
- 15歳…39,360人(19.0%)
- 16歳…52,647人(25.4%)
- 17歳…62,737人(30.3%)
- 18歳…18,876人(9.1%)
- 19歳…7,674人(3.7%)
- 20~24歳…14,569人(7.0%)
- 25歳以上…11,085人(5.4%)
転職や取得したい資格などの関係で高校卒業の資格が欲しい方は、ぜひ通信制高校を活用しましょう。
通信制高校のメリット
通信制高校には様々なメリットが存在します。
全日制と異なり自宅学習がメインとなっていることから個々のペースで勉強を進められるほか、半日のみの授業時間で終えられるため時間を自由に活用しやすくなっています。
また、服装の指定もないため私服での登校やメイク、染髪など自由にファッションを楽しむことも可能です。
学年制ではなく単位制を採用している点も、通信制高校の大きな魅力です。
全日制高校のように学年やクラスが決まっていないため、人間関係に悩む必要もなく自身のペースで学業に励めます。
以降では、通信制高校のメリットを解説します。
自分のペースで勉強できる
通信制高校では学ぶ教科も自分で選べるため、モチベーションを維持したまま授業を受けられます。
全日制高校のように決まったカリキュラムを受講する必要はなく、必要な教科を必要な分学習できるため自身のペースで勉強できます。
また、学習は自宅学習が基本となっているため、周囲の目を気にせずに学習を進めることが可能です。
周囲と比較されるのが嫌な方でもモチベーションを高めたまま自分のペースで勉強ができる点は、通信制高校のメリットと言えます。
自由度が高い
一般的な通信制高校には指定の制服がなく、私服での登校が可能です。
また、全日制高校のような厳しい校則も存在しないためメイクや染髪などファッションを楽しみながら学校に通えます。
服装以外にも通信制高校は授業時間が半日や午前・午後と分かれているため、自由に時間を使える特徴があります。
全日制高校のように1日8時間ほどの授業時間もないため、アルバイトなど学業以外にも打ち込みやすくなっています。
自由に服装や時間を使いたい方には、大きなメリットです。
人間関係などのストレスがない
通信制高校では生徒1人ひとりが目的のために学習しているため、全日制高校のような人間関係に悩むこともありません。
学習のほとんどは自宅学習であることから在籍する生徒と関わる時間も少なく、人と馴染むのが苦手な方でも安心して目標に向けて学習しやすくなっています。
通学も週1~3日ほどであり、自分の好きなタイミングで帰宅可能なため他人を気にせず学校生活を送れます。
全日制高校ほど他人との関わりがない点は、通信制高校の大きなメリットです。
通信制高校は自由度の高い勉強がしたい人におすすめ
今回は通信制高校とはどんな学校なのかについて解説しました。
通信制高校は全日制高校と大きく異なる点も多数存在します。
入学を検討する際には、通信制高校の特徴を把握するようにしましょう。
自由度の高さや自分らしく学校生活を求める方は、ぜひ通信制高校で自由度の高い勉強をしましょう。