こんにちは。スタッフのKです。
今日は、過去に進学塾で講師をしていた経験や教育について大学で学んだ事柄等から、私が考える「英語指導者はパフォーマーであるべきだ」と思う理由についてお伝えしたいと思います。
目次;
1.「楽しい学習」ってどんなこと?
大人から見た「子どもが学習を楽しいと思えるとき」って、どんなときだと思いますか?
「内容が理解できているとき」と答える方は多いかもしれません。逆に「内容が難しくてなかなか理解できないとき」とチャレンジ精神を持った強者の方もいるかもしれませんね。
では、毎日学習をしている子どもたちは、学習に対してどんなイメージを持っていると思いますか?
私が進学塾で新人講師として子どもに算数を教えていたとき、ある生徒が、何度かこういう質問をしてきたことがあります。
「先生、これって なに算? 掛け算?割り算?」
そのときは「この子は算数が苦手だから、問題を考えるのが嫌なのかな」等と思っていたのですが、のちに、こんな質問をさせてしまった原因が私にあることに気が付きました。
というのも、私は毎回、授業を始める前に「今日のお勉強」と題して、<掛け算・割り算の練習>などと単元内容を黒板に書いていたのです。
質問をしてきた子供は黒板を見て、
「この問題は掛け算か割り算なんだ。どっちなのかを聞けば、簡単でいいや」
と、思ったんでしょうね。
算数の文章問題の楽しさは、文章を読んで、どうやって問題を解決するのかを自分で考えることです。
このとき私がしてしまったことは、例えてみれば、初めて見る映画を楽しんでいる人にネタばれしているようなものだったのかもしれません。
私はこの出来事をきっかけに、単元内容の板書に工夫をするようになりました。
2.学習は、遊びの延長です
小学校の学習指導要領において、低学年の学習内容には単元に「〇〇あそび」という題名がついている教科がいくつもあります。
小学生の子どもにとって、学習は遊びの延長なのです。
小学校の低学年・中学年では、学習教科で求められることとして「能力の素地を養う」ことが重要視されています。
つまり、その教科の学習が順調に進むための準備をする、言わば「入門編」ということですね。
専門分野の書籍でも、よく「入門編」という書籍を見かけますよね。
どの分野でも、入門編の内容を覗いてみると「これなら私でも始められそう!」とか、「おー!私にも理解できる。楽しそう!」と思えるものばかりです。
楽しくなければ、学習は続きません。
3.小学校英語の学習目標を知っていますか
2020年に小学校5・6学年に外国語(英語)が教科化されたことによって、小学3・4年生に外国語活動(英語活動)が降りてきました。
外国語活動の学習目標は「英語でコミュニケーションを図る素地となる資質・能力の育成」です。
「英語を使っていろんなことをしてみよう!英語って楽しいよ!君ならできるよ!」
というメッセージを込めて、子どもたちと活動していく内容になっています。
ここでも、やはり「学習は楽しい・英語は楽しい」と思ってもらうことが目標として掲げられているのですね。
小学3・4年生の子どもたちに「楽しい!自分でもできる!」と主体的に取り組ませる有効な教材としては、ゲームやロールプレイが挙げられます。
英語の授業で取り入れられているロールプレイは、参加者に「役割」を与えてくれて、体験を通して学習をすることができますから、非常に有効な手段だと思います。
4.言語学習の「壁」となるもの
それでは次に、言語習得の際に「壁」となってしまう要素について有名な仮説をご紹介します。
第二言語習得の研究者として有名なスティーブン・クラッシェンは「第二言語習得の5つの仮説」を唱えているのですが、その中で「情意フィルター(the Affective filter hypothesis)」という壁があるという仮説を立てています。
これは、「不安」や「自信のなさ」等のネガティブな感情を持っていると、言語習得が難しくなるというものです。
不安や自信のなさは、言語に限らず、すべての学習について壁であると言われています。
こうした意味でも、子どもの学習を指導する際には、その子が手の届くレベルで学習ができる環境を整えてあげるべきだということが分かりますね。
その方が、指導する側・される側共に意欲的になれるのではないでしょうか。いわゆる「win-win」というヤツですね!
5.学習を楽しくする工夫
ここで私の塾講師時代の話に戻ります。
文章問題を楽しめない子たちに文章問題を好きになってもらおうと思い、ある授業時間で私は「今日のお勉強」項目のタイトルとして「なぞ解き大会」と黒板に書きました。
文章問題を「なぞ」と言い換え、問題に物語っぽく脚色を加えたのです。
「今日はみんなに探偵になってもらいます。まずは第一のなぞを解いてみましょう!」
と言って、物語っぽく脚色した問題を演劇舞台のように演出をつけて読み上げました。
文章を目で追う子どもたちの表情は真剣です。いつもは消しゴムを練っちゃう子も、楽しそうに聞いてくれていました。
文章を読み終わった後に「このナゾ、どうやったら解ける?」と子どもに訴えかけると、すぐに子どもたちから、いろいろな意見が出てきました。
あとは、子どもの考えた案を拾い上げ、まとめて板書するだけです。
問題の解説は子どもたちが率先して引き受けてくれて、授業は大成功でした。
子どもたちは「楽しかったー!」と満足してくれていました。
楽しそうな子どもたちの様子に、私も元気がもらえた、良い思い出です。
このときの授業の成功のポイントは、「なぞ解き」というゲーム要素を取り入れたことにより、勉強に取り組む敷居が低くなったこと。
そして子どもが探偵という専門的な「役割」を与えられたことにより、問題を解決できる人物として認知されたことで、問題に取り組む意欲が上がったためと考えられます。
6.先生はパフォーマー
前述の通り、英語学習の際には楽しんで言語習得をしてもらうためにゲームやロールプレイといった題材はとても良いものです。
ただし、ここで重要になってくるのは取り扱う教材(ゲームやロールプレイ)だけではありません。
それをどう取り扱っていくのかという「運営方法」も、非常に大切になってきます。
例えば、いくら楽しいゲームを用意してみても、英語の分からない子どもに全て英語で説明したところで通じるでしょうか。
「ゲームの説明を聞いても、何言ってるんだか分からない。聞きたいことあるけど、全部英語でしゃべってるから日本語で聞いたらダメな気がして聞けない。もうヤダ。英語嫌い。」
子どもがこの様なことを訴えた時、「この子は怠け者だ」と言えるでしょうか?
経験豊富な先生は、子どもを「英語の世界」に連れて行ってくれるパフォーマーだと私は思っています。
楽しい題材を生かすも殺すも、先生次第です。
楽しさを演出できるかどうかがカギなのです。用意された台本を読むだけでは、成功することは出来ないでしょう。
7.まとめ
小学生の子供たちが英語を学習する上で、大切なのは「楽しい」「自分でもできる」と思えることです。
そのために、指導者はゲームやロールプレイなどの題材を使って子どもたちに「役割」を与えたりゲーム的な要素を入れて楽しいクラスを運営していく必要があります。
子どもたちには、楽しいレッスンをたくさん経験して、「学習=楽しい」という価値観を持ってもらえるようになってほしいですね。
スモールワールドには、楽しいレッスンをしてくれる、パフォーマーとしてとても優れている先生がたくさん登録しています。
ぜひ、いろいろな先生の「パフォーマンス」を体験してみてくださいね!