「せっかくアメリカに駐在したのに、日本に帰ったらどうやって子供の英語をキープさせたらいいのだろう?」
よく駐在ママたちの間で話題になります。
「子供が英語を忘れても発音はきれいなまま残る」とも聞きますが、できたら帰国時の英語力を落とさず残したいのが本音です。
我が家は小学生2人を含む4人家族で、現在アメリカ在住通算9年目になります。「通算」としたのは、実は7年目と8年目の間に2年間日本に住んでいた時期があるからです。アメリカと日本を行ったり来たり、子供も日本の学校とアメリカの学校の両方に通った経験があります。
最初のアメリカ駐在を経て日本に帰国した時、遠くない未来に再渡米が見えている状態だったので子供の英語力の保持は最重要課題でした。
今回は、悪戦苦闘をしながら、そのときに挑戦したこととその結果を私なりにまとめてみました。
※本日は、アメリカ在住のママライターさんによる寄稿記事のご紹介です。
帰国子女向けの外国語保持教室とは?
本帰国を控えた駐在ママの間で必ず一度は話題にあがるのが、「外国語保持教室」の存在です。
海外子女教育振興財団が運営している、帰国子女を対象とした語学教室です。
週末に現地校に近いスタイル・カリキュラムで授業を行っており、授業はレベル別完全英語授業というまさに理想としている場所。
同じように海外を経験したお友達もできるだろうし、これは通わせてみたい!と思い早速ネットで情報を集めました。
しかし残念なことに、教室がある場所が我が家からは遠すぎて断念しました。
都心部や大都市の近くに住む場合は通える範囲かと思いますが、我が家の場合にはこの「外国語保持教室」に通うことは距離的に難しかったため、ここでは「外国語保持教室」についての評価はできません。お役に立てず申し訳ありません。
ネイティブスピーカーと話せる場所を求めて
次に考えたのが「ネイティブの先生にアメリカのテキストを持参し、それを教えてもらえたら英語力は落ちないのではないか?」ということ。
アメリカの教育を受けた先生なら何年生で何を学ぶか知っているはず!
その先生に教えてもらえたら、英語力に加えて学力も落ちない!
アメリカに戻った時にブランクを少しでも埋めておき授業についていけるように、と意気込んでアメリカでテキストを買い込んで日本に帰ってきました。
そして、ネイティブの先生からマンツーマンで学べる環境を求めて情報を集め始めました。
しかし、ここで一つ、外国語保持教室を探していた時と同様の問題が生じました。
田舎に住んでいたため、ネイティブスピーカーの先生から学べる場所がほとんど見つからないということです。
家庭教師を頼みたくても、条件が合う人が見つからず、英語からどんどん遠ざかる日々。
この時点で半年は経過していました。
塾もいくつか見学に行きましたが、家の近くでは対応不可、車で1時間ほどかかる教室を勧められることも。
何とか探し出したのが、イギリス出身の先生が一人で運営している個人塾でした。
この時私はフルタイムで働いていたため上の子と下の子を別々の日に塾に送迎することが時間的に難しく、週に1回、1時間を二人まとめてお願いすることにしました。
しかし、結果的にこの作戦は失敗でした。
上の子と下の子の年齢差や能力差を考慮せず同じ時間にレッスンをお願いしてしまったため、上の子は簡単でつまらない、下の子は難しくてできない、という状態になってしまいました。
先生も二人を同時進行で見るのは大変だったと思います。
テキストを使っての勉強よりゲームや日常会話などがレッスンのメインとなり、私の目論見からは外れたものになってしまいました。
ただ、上の子は難しい日本語の勉強から解放されて「楽しい」と毎回のレッスンを楽しみにしていたし、下の子はただ単純に英語でゲームなどをするのが楽しかったようで二人とも進んで通っていました。
英語に触れる、というレベルでの個人塾や家庭教師は効果的でした。
しかし、英語力保持となると週1回1時間では圧倒的に足りませんでした。
英語力保持に効果があったと思われること
我が家の場合、1で紹介した「外国語保持教室」には遠くて通えず。
2番目の「ネイティブ講師に学ぶ」という方法もイマイチ効果が薄く結果を出せませんでした。
このように思い通りにならないことが多かった一方で、効果が見られたと思うものも、ありました。
それは英語の本や動画の鑑賞です。
たくさんの英語の本を持ち帰ったので、上の子は特にそれを繰り返し読んでいました。
そのため、リーディング力はあまり落ちることなく、実際アメリカに戻ったときの最初のテストでは、Aをとることができました。
先生からもクラスの子供たちの前で「2年も日本にいたなんて思えない!素晴らしい!」と褒められたそうです。
元々本好きだったのも功を奏し、我が家ではこれが一番のヒットでした。
下の子はまだすらすら本が読める年齢ではありませんでしたが、音声で本を読み上げてくれるおもちゃと本のセットが役に立ちました。
また、タブレットのアプリも飽きずに継続することができました。
実際にアメリカの小学校ではアプリを使って学習を進めることがあります。
特に「Raz kids」というアプリは、子供も私も気に入っていてよく使いました。
Raz Kids(ラズキッズ)とは、英語圏の小学生などでリーディング副教材として使われているオンラインで多読学習を実現できる図書システムのことです。
レベル別にオンラインの本が用意されていて、範読、黙読、その後内容が理解できているかのテストに対応しています。
また、リーディングだけでなく、算数や計算、単語などさまざまなアプリがあり、各15分~20分程度でワンレッスンが完了するため負担も少なく続けられます。(Splash Math, Imagine Learningなど)
当時はリーディングのみ利用していましたが、その他の教科も使っていたら英語面だけでなく学力保持の効果があったのかもしれません。
帰国子女に合ったオンライン英会話スクール
もう一つ、効果があったと思ったのがオンライン英会話スクールのレッスンです。
田舎でネイティブスピーカーを探せない・・・という悩みも、オンラインであれば世界中と一瞬で繋がることができます。
オンライン英会話スクールでは入会金などの費用も掛からないところがほとんどでしたので、いくつかのスクールで体験を受けて子供自身が気に入る先生がいるところに入会をしました。
スクールによっては「子供」だというだけで、フラッシュカードを使って英単語だけを繰り返すような教材しか用意されていないようなところもありましたので、そうした点では多少スクール選びに苦労をしました。
数か月もすると、子供もすっかりとPCの操作を覚えて、母親である私が不在をしていてもレッスンを受講できるようになりましたが、慣れるまではPCの起動や操作を代わってやる必要があり、必然的に在宅中しかレッスンができないということはありました。
ただ、これはデメリットだけではなく、子供のそばで先生とのやり取りを聞いていられるので学習の進度を私も把握することが出来るなどの良い点もありました。
子供たちも、マンツーマンレッスンということで、先生と仲良くなって嬉しそうでした。
まとめ
以上の経験より、日本での帰国子女の英語力保持はそれほど簡単なことではなかったな、というのが実感です。
しかし、英語を忘れるスピードを遅らせることは可能です。そういう意味では、身近にある英語の本やアプリを活用できたのは良かったと思います。
また、頭の中に英語が少しでも残っていたら、そこをきっかけにまたすらすらと英語が出て来る、ということも目の当たりにしました。
話したり書いたりするアウトプットの機会は減りますが、少しでも英語を身の回りに置いておくこと、できる範囲で英語学習を続けることが英語力の保持に一役買ってくれたと思います。