アメリカの小学校は、日本の幼稚園年長である5歳から始まります。

※キンダー(Kindergarten)学年として、小学校に通います。

キンダーでは、生活態度や基礎的な英語や算数の知識を得て、Grade1(小学校1年生)から本格的に勉強がスタートします。

日本の年長・小1にあたる、この時期の子どもたちに英語の基礎をしっかりと指導をしていけば、子供は、その後英語力を確実に付けていくことができます。

ここでは、この時期の子どもたちに教えている、効果的なフォニックス指導法を3つに分けてご紹介していきたいと思います。

 

目次:

1.伝統的なフォニックス指導法について

2.ウェブサイトを利用した学習法

3.YouTubeビデオの活用

4.まとめ

 

1.伝統的なフォニックス指導法について

「フォニックス」と聞くと、とても新しい教授法に聞こえますが、実はすでに16世紀頃からイギリスで考え出されていたようです。

その後、英語圏の国では使われていたようですが、19世紀に入りアメリカでは本格的に小学校低学年で使われ、その効果の高さから、広範囲に広められました。

アメリカの教室で一般に見られるフォニックス教授法は、AからZまで書いてあるアルファベット表を使い、先生が児童たちの前で一つずつ、アルファベットとその音を発しながら、一緒に繰り返しておぼえていくという方法です。

日本でもひらがな表を使いますが、ひらがなの指導では、あまり発音に重きを置かず、フォニックスのアルファベット指導では、発音指導が積極的に行われる、という点が大きな違いでしょう。

フォニックスでは、アルファベットを見ながら一緒に発音することにより、頭に発音(聴覚)とアルファベット(視覚)をインプットしていきます。

ただ、最近の子供たちにこの方法で繰り返し何度も練習しても、飽きてしまう傾向にあります。

そこで、聴覚と視覚だけでなく触覚を取り入れることにより、ゲーム感覚でフォニックスを学んでいこう、とするのが「マグネット・アルファベットを使った仕分け学習」です。

これは、プラスチックの大きな入れ物にマグネット製のアルファベットを入れておき、フォニックスの規則に従い、児童が発音をそれぞれ言いながら、アルファベット順に仕分けていく、というちょっとゲーム性を足した学習方法です。

参加型学習のため、児童の集中力が高まるというメリットもあります。

また、成長の早いお子さんで字が書けるようであれば、英語の練習用紙に発音しながら、アルファベットを書いていくように指示をしていきます。

初めは、どのお子さんも字がきれいではありませんが、大切なのはきれいな字を書くことではなく、正しいアルファベットとその発音を同時に理解することです。

まだ、小さいお子さんたちなので、先生も、字のきれいさについてはあまり要求をしません。

 

2.ウェブサイトを利用した学習法

昔から使われているフォニックスの勉強方法も良いですか、そのコンピューターでウェブサイトやアプリを使って、アプリなどから反応が返ってくるという学習方法も子どもたちには人気です。

ここでは、小学校でよく使われている2つのウェブサイトをご紹介しましょう。

幼稚園児からでも簡単に使えるのが、Starfallです。

このサイトを使う前に必要なスキルは、コンピューターのマウスとキーボードをある程度操作できること。

以前は、このスキルがなく使うだけで苦労していましたが、最近のお子さんは iPadやスマートフォンなどをご家庭で使っていることがほとんどで、子供でも、すいすいと操作ができます。

子どもたちは、サイトへ行ったら、まずはABCのアルファベットと発音を覚えることから始めます。

コンピューター学習のもう一つの良い点は、子ども一人一人のペースで学習できること。

自分で完全にマスターできたな、と思えたら次へ進み、そうでなければ、できないアルファベットだけ何度も繰り返しマスターするまで学習することが出来ます。

そうして、アルファベットを覚えたら、次に学習するのが、フォニックスとサイト・ワード(Sight Word)です。

サイト・ワードとは、瞬時(Sight視界に入った瞬間)に理解し、知っておきたい単語のことです。

at, in, theなどの頻繁数が多いサイト・ワードについては、フォニックスに関係なく、丸憶えをさせると良いです。

サイト・ワードの学習の次は、簡単な文章、そして段落と、難度を徐々に上げていきます。
その他、このサイトでは、ハロウィーンやクリスマスなど、内容に沿った単語も覚えることができます。

本人の興味とペースによって、各自で多数のオプションから選択して学習ができるのも、このサイトの優れた点です。

もう一つ学校で良く使われているのがMyon という、オンライン書籍がたくさん読めるサイトです。

これは学校で購読しているため(費用が掛かりますが、個人購読も可能です)、子どもたちは自由に使うことができます。

大規模図書館と言っても過言ではないほど、小学校低中学年の書物の宝庫です。

ただし、このサイトの活用は、まずは、ある程度自分で本を読めることが前提です。

ある程度自分で英文を読めるようになったら、まずはフォニックスの音に敏感な内容の本を選ぶと効果が上がります。

Myonは自分のアカウントをもらい、読んだレベルで点数が付くようになっています。

一度そこで中断しても自分のアカウントへ戻れば、中断したところから読むことができます。

ジャンルも豊富で、絵本、科学、フィクション、芸術、スペイン語書物など、たくさんの本が揃っています。

このサイトの良いところは、いつでもどこでも読書ができることです。

私(筆者)の息子たちは夏休みに帰国した際、英語の書物は一切持たず、日本でiPadからMyonへアクセスして自由に英語の本を読んでいました。

Starfallもそうですが、コンピューターを使うと場所や時間に制限されないところが魅力です。

 

3.YouTubeビデオの活用

みなさんは、学校の授業というと、先生が子どもたちの前に立って、黒板やホワイトボードを使って説明しながら進行する、というのが当たり前だと思ってはいませんか?

今、私はアメリカで子育てをしていますが、アメリカに限らず、テレビやコンピューター、スマホのアプリに囲まれながら育ってきている子どもたちは、じっとして先生や親の言うことを聞く忍耐力が少なくなってきているような気がします。

そのため、アメリカの先生方は子どもたちの性格、文化背景、そして経済的な短所・長所を見極めながら授業を行わなくてはなりません。

そこで最近の風潮としてお子さんが言葉を憶えるのに効果的なのが、

「体を動かしながら」「見て」「聞いて」「歌う」

といったキーワードの、参加型授業です。

ここでは、このようなキーワードに沿った、授業でよく使われている動画を2つご紹介します。

まず、体を動かしながら「歌って踊る」ということをメインにしている動画がAct out alphabet by Jack Hartmann です。

私が授業風景を初めて見たとき、このビデオを見て「これが、アメリカの授業?」と目を疑ったのですが、何度も先生が子どもたちにビデオを見せることによって効果が出てきていることが分かりました。

子どもたちは、初めて見るとそのビデオの不思議さに見入ってしまいます。

その後「楽しそう」な雰囲気に自分も参加したいと思い、何度かビデオを見ているうちに、歌と動作を覚えていくのです。

子供によっては、恥ずかしくて参加したがらないこともありますが、クラスの大半が参加しているのを見たら恥ずかしいと思わず、大人しいお子さんも次第に参加しクラスが一体化して楽しい空間になります。

これは、何度も繰り返し意味のない言葉を憶えるよりは効果的です。

次のビデオはPhonics songPhonics song 2 by A.J.Jenkins.のシリーズです。

これは、絵、音、そして発音パターンをなんとなく子どもたちに見せることにより、知らないうちにフォニックス法に沿って英語の発音と単語を覚えていくというものです。

ここでも、ボディアクションや視覚的にも楽しみながら単語の読み・発音について対応力が身に付くように工夫がされています。

 

4.まとめ

今日は、アメリカの子どもたちが学校で受けるフォニックスやアルファベット教育についてご紹介致しました。いかがでしたでしょうか。

アメリカの小学校現場を見ていて、私が感心するのは、

「アメリカの先生方は、学習を「学習」と思わせずに子供たちの意欲を持たせ、効果を上げていくという工夫をして下さるなあ」

という点です。

また、学習を教室の授業だけではなく、コンピューターによりウェブサイトやアプリを使い家庭でも学習を楽しみながらやって行く方法をどんどん取り入れている点もさすがだと思います。

さらに、YouTube動画の活用は、何度も繰り返しが出来ますし、頭の中で歌、踊り、ビジュアルが強い印象を残してくれるので、特に意識して「復習をしなさい」と指示しなくても、子どもたちが自主的に何気なく歌ったり、踊ったりすることで学習しているというのも利点です。

こういった子供の興味に沿った楽しい学習方法を、ぜひ日本のご家庭でも取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

 

 
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