英語「を」言語学習として学ぶのではなく、英語「で」何かしらの内容を学ぶ、CLIL(クリル)について、お伝えします。
1.はじめに
前回お伝えしました、
<英語「を」言語学習として学ぶのではなく、英語「で」何かしらの内容を学ぶ>
CLIL(Content and Language Integrated Learning =内容言語統合学習)について、今回は、<サイエンス編>に引き続き、算数分野のワークブックをご紹介していきます。
算数も、やはりCLILの手法を取り入れるのに大変相性の良い分野です。
2.CLIL〔クリル〕では算数が日本人に特におすすめなわけ
算数分野は、全教科の中でも最も覚える単語が少なく、共通認識の部分が多い教科です。
ですので、CLILで活用するにはもってこいの分野です。
特に、算数が好きな子供であれば、ゲーム感覚で取り組むことができるでしょう。
また、外国のワークブックを使う場合は、カリキュラムが少し異なるのですが、たいていは日本で学んでいる内容の方が先を行くことが多いため、言語を除けば、理解が追いつかない、といった類の心配が要りません。
そういった意味でも、算数はCLILで取り入れるのにはおすすめのジャンルです。
3.実践CLILのおすすめ教材<算数編>
それでは、さっそくCLILを実践してみたい方のために、おすすめのワークブック形式の算数教材をご紹介したいと思います。
辞書で有名な出版社Collinsが作っている教材。とても簡単な短い英語で書かれていて、さらにオールカラー、ページ数も薄め。ちょっとしたアクティビティ感覚で、無理なく取り組めるフレンドリーなワークブックですが、キーコンセプトはしっかりカバーしています。どんどん演習ができて、英語も算数も、無理なく力をつけていくことができます。
こちらも、簡潔明瞭な説明で、とてもわかりやすい教材です。イギリスのカリキュラムなので、少し日本と異なり、5~7歳が対象ですが、どんなときに➕、➖、×、➗ を使うのかなど、基礎概念が小さな子どもでも理解しやすいようになっています。また、日本よりも図形の基礎に触れる時期は早いのか、図形問題も出題されています。いずれも、ゲーム感覚で楽しく進めていくことができるように工夫されています。ページ数が少なめなので、繰り返して取り組めるのも魅力です。
4.とても優れたCLIL教材は、日本のアレ!(裏技紹介)
次に、とっておきのおすすめ裏技的な方法をご紹介します。
実は、日本の普通の算数教科書には、英訳版が出ているってご存知でしたか?
この、英訳版教科書を使うのも、CLILでは非常におすすめな方法です。
東書/学校図書/啓林の三つの教科書会社のものが1〜6年生まで出版されています。
ちなみに、例えば、アメリカの算数教科書と日本のものを比較してみると、アメリカの教科書は非常に分厚く、日本の教科書は非常に薄いという違いがあります。
アメリカ式のものは、説明よりも、練習問題が目立ちます。
一方、日本の教科書は、ほかにワークブックを併用するのが普通であることから、練習問題が少なくて薄いのですが、系統だったカリキュラムで、きちんと簡潔明瞭な説明が記されています。
このため、日本の教科書の英語版は、読みものとしても、とても優れたCLIL教材だと言えるのです。
内容も図も、全く日本の教科書と一緒ですが、言語が英語になっています。
それぞれのお子さんの学校で使っている教科書に合わせて購入してやってみると、とても取り組みやすく、良い復習になるでしょう。
実際に取り組む際には、学年を1~2学年ずらしたところから始めると無理がありません。
出版社のサイトにいけば、だれでも簡単に英訳教科書を購入できます。
<東書版> Mathematics for Elementary School 1~6B
ゆとりカリキュラムに入る前のカリキュラムに沿ったもの教科書を英訳しています。
絵が少し古い感じもしますが、説明が丁寧で、お母さんの年代には馴染みのある方も多いでしょう。
<学校図書版> MATHEMATICS for Elementary school 1~6B
現行版のカリキュラムの英訳バージョンです。わかりやすい英語で、必要十分な説明がされている、バランスの良い教科書です。
こちらは、◯年度版というように、随時アップデートされた英訳教科書を入手することができます。少し数学的思考を自ら身につけるタイプの教科書で、「どうしてだろう?」という発問や、自分の考えを表現するタイプの問題が多いので、算数が得意な子により向いている教材です。
5.おわりに
以上、二回にわたってCLILで取り組みやすい理数系分野のワークブック式教材をご紹介してきましたが、いかがでしたか?
日本の、英語を使う機会も限定された人工的な外国語学習環境で、実践的な英語を操るのは、まだあまり得意でない年代(4〜10歳)の子どもたち。
言語としての英語にフォーカスしただけでは続けにくい外国語学習でも、子どもたちが、それぞれの興味や関心の強い分野で、絵や図など視覚イメージと言葉を結びつけながら学習できる教材であれば、学習効果は断然上がります。
CLILの手法を上手に活用して、英語を自然な言葉・ツールとして染み込ませることのできる時間をぜひ作ってみてください。